「ストレスチェック、義務化されるのは分かった。でもいくらかかるんだろう?」
中小企業の経営者や人事担当者と話すと、必ずこの疑問が出てきます。2028年の法改正で50人未満の事業場にも義務化が拡大されるにもかかわらず、費用感がよく分からないまま「とりあえず様子見」している会社が多いのが現実です。
結論から言うと、やり方次第で費用は0円にも30万円にもなります。この差がどこから来るのか、実際の相場と選び方を一緒に整理していきます。
3つの実施方法と費用の全体像
まず、ストレスチェックの実施方法には大きく3つあります。
| 実施方法 | 費用感 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 外部委託(EAP事業者) | 1人あたり500〜3,000円/年 | 50人以上・担当者が忙しい |
| 自社実施(紙の調査票) | 印刷費+実施者の確保コスト | コスト最優先だが工数覚悟 |
| 無料クラウドシステム | 0円 | 50人未満の中小企業 |
それぞれ順番に説明します。
方法①:外部委託(EAP事業者)
いちばん「よく使われている」方法です。ドクタートラスト、マイナビEAP、アドバンテッジリスクマネジメントといった事業者に丸ごと委託する形です。
相場は1人あたり年間500〜3,000円。
従業員規模別に試算するとこうなります。
| 従業員数 | 安いプラン(500円/人) | 標準プラン(1,500円/人) | 高機能プラン(3,000円/人) |
|---|---|---|---|
| 10人 | 5,000円 | 15,000円 | 30,000円 |
| 30人 | 15,000円 | 45,000円 | 90,000円 |
| 50人 | 25,000円 | 75,000円 | 150,000円 |
| 100人 | 50,000円 | 150,000円 | 300,000円 |
メリットは「全部やってくれる」こと。実施者(医師・保健師)の確保も、集計も、高ストレス者への面接指導も、全部込みのプランが多いです。担当者の工数をほとんどかけたくない会社にはいい選択肢です。
デメリットは、毎年コストがかかり続けること。従業員が増えるほど費用も上がります。
方法②:自社実施(紙の調査票)
「お金をかけたくない」ということで自社実施を選ぼうとする会社も多いのですが、ここに一つ大きな落とし穴があります。
「紙は無料でしょ?」は半分正解で半分間違いです。
調査票そのものは厚生労働省から無料でダウンロードできます。でも、ストレスチェックには**「実施者」**──医師、保健師、または一定の研修を受けた歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師──が必ず必要なんです。これは法律で決まっています。
社内にその資格を持つ人がいれば問題ありません。でも多くの中小企業にはいない。その場合、外部と産業医契約を結ぶことになりますが、相場は月2〜5万円。年間24〜60万円です。
「紙で実施するために産業医を契約したら、外部委託より高くついた」というのはよくある話です。
さらに集計の手間もあります。57項目のアンケートを手作業で集計・分析する工数は、担当者が半日〜1日仕事になることもザラです。
方法③:無料クラウドシステム(コスパ最強)
「システム費用0円で実施する」という選択肢が、実はあります。
僕たちが作っているSmart Stress Checkもその一つですが、無料ツールを使えばシステム費用は完全に0円です。
ただし、無料クラウドシステムを使っても「実施者」問題は残ります。これをどう解決するか。
産業医がいない会社の現実的な解決策
まず前提として、ストレスチェックの「実施者」になれるのは以下の資格を持つ人です。
- 医師・保健師
- 一定の研修を受けた歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師
社内に一人もいない場合、次の方法が現実的です。
① 外部機関に委託する(実施者込みのサービス)
外部委託の多くは、実施者(医師・保健師等)をセットで提供しています。「実施者がいないから委託する」という使い方が、50人未満の中小企業では実際に一番多いパターンです。
② 地域産業保健センター(地産保)を使う(面接指導が無料)
全国350か所の地域産業保健センターでは、高ストレス者への医師の面接指導を無料で受けられます。ただし、ストレスチェック自体の実施は行っていないので注意が必要です。ストレスチェックは別途実施して、面接指導のみ地産保に依頼する、という組み合わせが使えます。
③ 保健師・看護師等に依頼する(医師より低コスト)
産業医(医師)よりも保健師・看護師・精神保健福祉士等の方が低コストで協力を得られることがあります。地域の保健師会や産業保健総合支援センターに相談してみてください。
助成金で実質負担をゼロに近づける
もう一つ忘れてほしくないのが助成金の活用です。
**職場環境改善助成金(厚生労働省)**は、常時使用する労働者が30人未満の小規模事業者向けに、費用の最大3/4(上限100万円)を補助します。外部委託費用もこの助成金の対象になりえます。
**IT導入補助金(中小企業庁)**も、ストレスチェックシステムがITツールとして対象になる場合があります。
「費用がかかるから導入を迷っている」という場合、助成金を先に調べる価値は十分あります。
結論:50人未満の中小企業への推奨パターン
コストを最小化する組み合わせはこうです。
- システム:無料クラウドツール(Smart Stress Check等)→ 0円
- 実施者:地域産業保健総合支援センター → 0円
- 合計:0円(担当者の工数のみ)
「0円でできるの?」と思うかもしれませんが、これは制度を正しく使えば本当に実現できます。
2028年の義務化まで時間があるうちに、一度「うちの会社はどのパターンが合うか」を整理してみてください。悩む前に実際に触ってみるのが一番早いので、よければSmart Stress Checkを無料で試してみてください。
よくある質問
Q:ストレスチェックは何人から義務化されていますか?
現在は常時使用する労働者が50人以上の事業場に義務化されています。2028年の改正で50人未満にも拡大される予定です。
Q:外部委託と自社実施、どちらが法律的に正しいですか?
どちらも問題ありません。「実施者(医師、保健師、または一定の研修を受けた歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師)が関与する」という要件さえ満たせば、方法は問われません。
Q:無料システムを使っても法的に問題ありませんか?
問題ありません。法律が要求しているのはシステムの有料・無料ではなく、適切な実施者のもとで規定の調査票を使って実施することです。
Q:費用は経費として落とせますか?
外部委託費用・産業医の契約費用・システム費用、いずれも法定福利費として経費計上できます。