「健康経営優良法人を取りたいけれど、ストレスチェックはどこまでやれば認定に効くのか分からない」。中小企業の人事・総務担当者からよく聞く悩みです。健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)の認定要件は5つの柱に整理されており、ストレスチェックはそのうち複数の項目に関わってきます。この記事では、認定要件とストレスチェックの関係を整理したうえで、50人未満の企業が2028年4月のストレスチェック義務化とあわせて無理なく進める方法を解説します。
健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)とは
健康経営優良法人認定制度は、経済産業省と日本健康会議が運営する制度で、従業員の健康づくりに戦略的に取り組む企業を「見える化」するものです。大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれており、中小企業や個人事業主が対象になるのは中小規模法人部門です。
中小規模法人部門の中でも特に評価の高い上位500社は「ブライト500」、501〜1500位は「ネクストブライト1000」として選定され、地域や業界のモデル企業として紹介されます。認定を受けると、金融機関の低利融資や公共調達の加点、採用活動でのアピールなど、経営面でのメリットにもつながります。
2026年度の中小規模法人部門は、例年どおり8月下旬から申請受付が始まり、10月中旬に締め切られる見込みです(正式な日程は毎年経済産業省・ACTION!健康経営サイトで発表されるため、申請前に必ず最新情報を確認してください)。審査を経て翌年2月に内定、3月に認定法人が発表されるのが例年の流れです。
認定要件の5つの柱とストレスチェックの位置づけ
中小規模法人部門の認定要件は、次の5つの柱で構成されています。
| 柱 | 内容 | ストレスチェックとの関わり |
|---|---|---|
| ①経営理念・方針 | 健康宣言の発信、経営者自身の健診受診 | 直接の関わりは薄い |
| ②組織体制 | 健康づくり担当者の設置、40歳以上の健診データ提供 | 産業医・保健師連携の土台になる |
| ③制度・施策の実行 | 健康課題の把握、施策の土壌づくり、具体的な健康施策 | ストレスチェックが選択項目として登場 |
| ④評価・改善 | 施策の効果検証とPDCA | ストレスチェックの集団分析結果を改善に活用 |
| ⑤法令遵守・リスクマネジメント | 労働関連法令の遵守状況の自己申告 | 50人以上の事業場はストレスチェック実施が必須項目 |
このうち、ストレスチェックが具体的に関わってくるのは主に③と⑤の2箇所です。
③制度・施策の実行:「健康課題の把握と目標設定」の選択項目
「健康課題の把握と目標設定」の項目では、定期健診受診率100%が基本条件となったうえで、再検査の受診勧奨やストレスチェックの実施など複数の選択肢から最低2つ以上を実施することが求められます。つまりストレスチェックは必須の単独項目ではなく、「健康課題を把握するための代表的な手段の一つ」として位置づけられています。ストレスチェックを実施すれば、この選択項目のうち1つを満たせるだけでなく、結果を集団分析すれば④の評価・改善にもそのまま活用できるという利点があります。
⑤法令遵守・リスクマネジメント:50人以上は実質必須
労働安全衛生法上、常時50人以上の労働者を使用する事業場は年1回のストレスチェック実施が義務です。健康経営優良法人の認定要件では、この法令遵守状況を自己申告する項目があるため、50人以上の事業場にとってはストレスチェックの実施が事実上必須の前提条件になります。実施していない、あるいは労働基準関連法令による是正勧告・送検歴がある場合、認定そのものが難しくなる可能性があります。
50人未満の企業が意識すべきポイント
現時点で、常時50人未満の事業場はストレスチェックの実施義務がなく、努力義務にとどまっています。ただし2025年5月成立の労働安全衛生法改正により、2028年4月1日から50人未満の事業場にも実施が義務化されることが決まっています。
50人未満の企業にとって、健康経営優良法人の認定要件は「義務ではないがやっておくと評価される」項目にストレスチェックが含まれる形です。つまり、認定取得を目指す過程で先行してストレスチェックを実施しておけば、次の3つを同時に満たすことができます。
- 健康経営優良法人の「健康課題の把握と目標設定」項目のクリア
- 2028年4月の義務化への実務的な備え(受検体制・実施者の確保・結果管理の仕組みづくり)
- 従業員の離職防止・エンゲージメント向上につながる職場環境の可視化
義務化を待ってから慌てて体制を整えるより、健康経営優良法人の申請準備というタイミングを利用して先に仕組みを作ってしまう方が、結果的に負担が小さく済むケースが多いといえます。
認定を目指す4ステップ
- 健康宣言を社内外に発信する:経営者自身が健康経営に取り組む姿勢を示し、自身も健診を受診します。社内掲示や会社サイトでの公表が一般的です。
- 健康づくり担当者を決める:人事・総務の兼務で構いません。担当者を明確にすることが組織体制の評価項目になります。
- ストレスチェックを先行実施する:50人未満で義務がない企業も、Smart Stress Checkのような低コストで始められるツールを使えば、大掛かりな準備なしに実施できます。結果は「健康課題の把握」項目の実績としてそのまま使えます。
- 産業医・保健師との連携体制を整える:高ストレス者への面談対応や集団分析の読み解きは、外部の産業医サービスと連携すると実務負担を抑えられます。
申請費用とスケジュールの目安
中小規模法人部門の認定申請料は、直近年度で税込88,000円が目安とされています(健康経営度調査への回答のみで認定審査を受けない場合は申請料は不要)。金額や申請期間は年度によって変更される可能性があるため、申請直前には必ずACTION!健康経営の公式サイトで最新情報を確認してください。
申請から認定発表までは、例年8月下旬の申請受付開始から翌年3月の認定発表まで半年以上かかります。ストレスチェックのように実施と結果の集計に一定の期間を要する施策は、申請受付が始まってから着手するのでは間に合わないことがあります。申請を検討している場合は、遅くとも申請受付の2〜3か月前にはストレスチェックの実施を終えておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 健康経営優良法人の申請は無料ですか? 中小規模法人部門の認定審査を受ける場合は申請料がかかります(直近年度で税込88,000円が目安)。健康経営度調査への回答のみで認定を受けない場合は無料です。金額は年度により変わるため、公式サイトで最新の案内を確認してください。
Q2. ストレスチェックを実施していなくても申請できますか? 50人未満の事業場であれば、ストレスチェック未実施でも申請自体は可能です。ただし「健康課題の把握と目標設定」項目では他の選択肢(再検査受診勧奨など)と合わせて2つ以上の実施が必要なため、ストレスチェックをしない場合は別の施策で要件を満たす必要があります。50人以上の事業場は法令上ストレスチェックの実施が義務のため、未実施のままでの申請は現実的ではありません。
Q3. 50人未満の小さな会社でも認定を目指せますか? 目指せます。小規模法人向けの評価項目の調整(小規模法人特例)が設けられており、大企業と同じ基準がそのまま適用されるわけではありません。健康宣言と健康づくり担当者の設置など、着手しやすい項目から積み上げていく企業が多いです。
Q4. 審査期間はどのくらいかかりますか? 申請受付終了後、日本健康会議による審査を経て、例年2月に内定、3月に認定法人が正式発表されます。申請から発表まで半年近くかかる点は見込んでおく必要があります。
Q5. ストレスチェックを実施すれば自動的に認定されますか? 自動的には認定されません。ストレスチェックは5つの柱のうち一部の評価項目に関わる要素の一つであり、経営理念・方針や組織体制、法令遵守など他の要件も総合的に満たす必要があります。
まとめ
健康経営優良法人2026の認定要件のなかで、ストレスチェックは「健康課題の把握と目標設定」の選択項目、および50人以上の事業場では法令遵守の必須事項として関わってきます。50人未満の企業にとっては現時点で任意ですが、2028年4月の義務化を控えていることを踏まえると、認定準備のタイミングで先行実施しておくのが合理的な選択です。何から始めればよいか迷う場合は、Smart Stress Checkで自社の状況に合った実施方法を確認するところから始めてみてください。