2028年4月1日、ストレスチェックがすべての事業場で義務化されます。
「うちは5人しかいないけど、本当に対象なの?」「実施者って誰に頼めばいいの?」「費用はいくらかかる?」——このガイドでは、そんな疑問に全部答えます。
読み終わったとき、あなたの会社で今日から準備を始められるようになっているはずです。
この記事でわかること
- ストレスチェック義務化の正確なスケジュールと対象範囲
- 「実施者」に誰がなれるか、どこで探すか
- 50人未満の会社特有の3つの課題と解決策
- 費用ゼロで実施する方法
- STEP1〜6の具体的な実施手順
- よくある質問(FAQ)10問
ストレスチェック義務化とは?(2分で理解できる要点)
ストレスチェックとは、労働者が自分のストレス状態を把握するための検査です。精神疾患の発見が目的ではなく、「気づき」と「メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)」が目的です。
いつから義務化?
令和7年(2025年)5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、**施行日は令和10年4月1日(2028年4月1日)**に確定しています。
| 事業場規模 | 2028年3月31日まで | 2028年4月1日以降 |
|---|---|---|
| 50人以上 | 義務(2015年〜) | 義務(継続) |
| 50人未満 | 努力義務 | 義務(新規) |
何をしなければならないの?
- 年1回のストレスチェック実施(対象:常時使用する労働者)
- 高ストレス者への面接指導体制の整備(申出があった場合は実施義務)
- 結果の5年間保存
- 集団分析・職場環境改善(努力義務)
- 労働基準監督署への報告:50人未満は不要
ポイント: アルバイトや短時間パートは原則対象外ですが、「週の所定労働時間が通常の労働者の3/4以上」の労働者は対象になります。
2028年義務化の正確なスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 今〜2027年 | 準備・体制構築(実施者の確保、社内ルール策定) |
| 2028年4月1日 | 義務化スタート(法的義務が発生) |
| 2028年度中 | 第1回のストレスチェックを実施 |
2025年〜2027年の「準備期間」は実質2〜3年しかありません。特に実施者の確保(後述)は時間がかかる場合があるため、早めに動くことをお勧めします。
誰が「実施者」になれるのか?
ストレスチェックの実施に必要な「実施者」は、医療資格を持つ専門職に限られています。
実施者になれる人
厚労省の小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和8年2月)によると、実施者になれるのは以下の職種です。
- 医師
- 保健師
- 一定の研修を修了した歯科医師
- 一定の研修を修了した看護師
- 一定の研修を修了した精神保健福祉士
- 一定の研修を修了した公認心理師
⚠️ 社長・人事担当者・総務担当者は「実施者」にはなれません。ただし「実施事務従事者」(事務を担う役割)にはなれます。
実施者をどこで探すか
50人未満の会社が実施者を確保する主な方法は3つです。
① 外部委託サービスを利用する(最も手軽)
クラウド型ストレスチェックサービスの多くが、実施者(医師・保健師)を提供しています。費用は1人あたり年間300〜500円程度からあります。Smart Stress Check(無料)のように実施者との連携をサポートするサービスも登場しています。
② 地域産業保健センター(地産保)を活用する(無料)
地域産業保健センターは、全国350か所以上に設置された厚生労働省所管の無料相談窓口です。50人未満の事業場向けに産業保健サービスを無料で提供しています。
ただし注意点として、地産保はストレスチェック自体の実施者にはなりません(面接指導のみ対応)。ストレスチェックの実施については、実施者の紹介や相談対応をしてもらえます。
地産保の窓口はこちらから検索できます。
③ かかりつけの産業医・内科医に相談する
取引のある医師がいる場合、相談してみる価値があります。実施者としての要件(医師なら資格のみ)を満たしていれば、依頼できます。
50人未満の会社が直面する3つの課題と解決策
課題①:産業医がいない
50人未満の事業場には産業医の選任義務がありません。実施者を社内で確保するのが難しい状況です。
解決策: クラウド型サービスへの外部委託が最も現実的。実施者込みのサービスを選びましょう。
課題②:人事専任者がいない
社長や総務担当者が兼任しているケースがほとんどです。
解決策: クラウドサービスで質問票の配布・回収・集計・結果通知を自動化する。事務担当者の工数を最小化できます。
課題③:個人が特定されやすい
5〜10人の小さな会社では、「高ストレス者が出た」だけで誰か分かってしまいます。
解決策:
- 結果は実施者から直接本人へ通知(会社は見られない)ことを事前に周知する
- オンライン方式で匿名性を担保する
- 「会社は個人結果を絶対に見ない」ことを明文化したルールを作る
実施費用と使える助成金
実施方法別の費用目安
| 実施方法 | 費用 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 無料クラウドサービス | 0円 | 5〜49人の中小企業 |
| 有料クラウドサービス | 1人あたり300〜1,000円/年 | より充実したサポートが必要 |
| 外部委託(EAP事業者) | 1人あたり500〜3,000円/年 | 50人以上・フルサポート希望 |
10人の会社なら年間0〜30,000円程度で対応できます。
使える助成金
団体経由産業保健活動推進助成金(厚生労働省)
- 中小企業団体が産業保健活動を支援する際の費用を助成
- ストレスチェックの実施費用も対象
人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
- メンタルヘルス対策を含む雇用管理制度の導入・実施で支給
- 最大57万円の支給実績あり
詳しくは厚生労働省の助成金情報をご確認ください。
ステップバイステップ実施ガイド
STEP 1:社内体制を整える(実施3ヶ月前まで)
実施事務従事者を決める(総務担当や社長でOK)
実施者を選ぶ(外部委託先 or 地産保で相談)
社内ルールを作成・周知する
- 実施時期・対象者
- 結果の取り扱い(本人以外は見られないこと)
- 不利益取扱いの禁止
📋 厚労省のストレスチェック制度実施規程モデル例(マニュアル巻末)をそのまま使えます。
✓ まとめ: 社長メッセージ+社内ルール+実施者確保の3点セットを用意すれば完了。
STEP 2:従業員への事前説明(実施1ヶ月前)
以下の4点を全員に説明・周知します。
- 目的はメンタルヘルス不調の「予防」(病気の発見ではない)
- 結果は実施者から本人に直接通知(会社は同意なく見られない)
- 結果による不利益取扱いは法律で禁止
- 受検は任意だが、できるだけ全員の受検を推奨
「会社に結果が分かるのでは」という不安が、回答の歪みにつながります。この説明が一番重要です。
STEP 3:ストレスチェックを実施する
- 質問票: 厚労省推奨の57項目(または簡易版23項目)
- 回答方法: オンライン(クラウドサービス)または紙
- 推奨時期: 繁忙期を避ける(例:4〜5月 or 9〜10月)
- 回答期間: 2〜3週間が一般的
10人未満の会社では回答率が下がりやすいため、業務時間内に回答できる環境を整えることが重要です(マネージャーが配慮する旨を伝える)。
STEP 4:結果の通知と保存
- 実施者(外部委託先)から本人に直接結果を通知
- 会社は個人の結果を見てはいけない(本人の同意がない限り)
- 結果の記録は5年間保存する義務があります
STEP 5:高ストレス者への対応
高ストレスと判定された従業員が面接指導を申し出た場合、医師による面接指導を実施します。
- 申出があった場合は会社の義務(申出がなければ強制はできない)
- 面接指導は地域産業保健センターが無料で対応(50人未満事業場向け)
- 面接指導の結果を理由とした解雇・降格・減給は違法
✓ まとめ: 「申出があれば地産保に無料で依頼できる」という体制を事前に整えておく。
STEP 6:集団分析と職場環境改善(努力義務)
- 個人が特定されない形で部署・グループ単位の集計結果を確認
- ストレス要因が高い部署があれば、業務量・人間関係・職場環境を見直す
- 10人以下のグループは集団分析の対象外(個人特定を防ぐため)
よくある質問(FAQ)
Q. 派遣社員もストレスチェックの対象? A. 派遣社員は派遣元(派遣会社)に実施義務があります。派遣先の義務ではありません。
Q. アルバイトは対象になる? A. 週の労働時間が通常の労働者の3/4未満のアルバイトは原則対象外です。ただし「継続雇用で1/2以上」の場合は実施が望まれます。
Q. 結果が悪かった人を解雇できる? A. 絶対にできません。ストレスチェックの結果を理由とした不利益取扱いは労働安全衛生法で禁止されています。
Q. 受検を拒否した社員はどうする? A. 受検義務は労働者に課されていません。強制はできませんが、制度の趣旨を丁寧に説明して受検を勧めてください。
Q. 社長もストレスチェックを受ける必要がある? A. 社長(事業主)は「労働者」ではないため対象外です。
Q. 結果は何年保存する? A. 5年間の保存が義務です(書面またはデータ)。
Q. 50人未満は労基署への報告が不要? A. はい、50人未満の事業場は報告不要です。ただし「常時使用している労働者数」でカウントするため、アルバイトを多数雇用している場合は確認が必要です。
Q. 実施のタイミングは年1回でいつでもいい? A. 年に1回以上実施すれば、時期は事業場が自由に決められます。繁忙期は避けましょう。
Q. 費用がかかる外部委託と無料サービスの違いは? A. 主な違いはサポート体制と機能の充実度です。50人未満の企業なら無料サービスで十分対応できるケースが多いです。
Q. 自社で実施(紙の調査票)は可能? A. 可能ですが、実施者の確保・集計・個人情報管理など工数が大きくなります。クラウドサービスを活用するほうが現実的です。
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