実務ノウハウ

高ストレス者の面接指導とは?対象・流れ・中小企業の対応をガイド

高ストレス者への面接指導の対象要件と法定の流れ、費用、産業医がいない場合の対応を解説。地域産業保健センターの無料活用法や相談導線の作り方も紹介。

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ストレスチェックを実施すると、一定割合の社員が「高ストレス者」と判定されます。ここで多くの中小企業が立ち止まるのが、「そのあと、何をすればいいのか」という問題です。

ある民間調査(2026年3月発表、有効回答430件)では、高ストレス判定を受けた経験がある人は約3人に1人(33.7%)にのぼる一方、そのうち**約半数(47.6%)が判定後「何も行動しなかった」**と回答しています。理由として最も多かったのは「相談しても状況は変わらないと思った」(43.5%)、次いで「形式的なもので意味がないと思った」(31.9%)、「産業医に相談するのはハードルが高い」(23.2%)でした。

判定を出すこと自体はゴールではありません。この記事では、高ストレス者への「面接指導」という制度の対象要件と法定の流れを整理したうえで、産業医がいない中小企業でもできる現実的な対応方法まで解説します。

高ストレス者と面接指導の位置づけ

ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された労働者のうち、実施者(医師・保健師等)が「面接指導が必要」と認めた人が、事業者に対して面接指導を申し出ることができます。ポイントは、面接指導は自動的に実施されるものではなく、本人からの「申出」が起点になるという点です。

事業者は、この申出があった場合、遅滞なく(おおむね1か月以内を目安に)医師による面接指導を実施しなければなりません。実施する医師は、事業場の産業医または産業保健活動に従事している医師が推奨されています。

なお、月80時間を超える時間外・休日労働を行った労働者については、本人からの申出がなくても面接指導を実施するよう努めることとされており、長時間労働者への配慮と高ストレス者への対応は別制度として整理されている点も押さえておきたいところです。

面接指導の流れ(4ステップ)

ステップ 内容 目安の期限
① 申出 高ストレス判定を受けた本人が事業者に申出 判定通知後、概ね1か月以内
② 実施 産業医等が面接指導を実施 申出から概ね1か月以内
③ 意見聴取 事業者が医師から就業上の意見を聴取 面接指導後、遅滞なく
④ 事後措置 就業場所の変更、労働時間の短縮等の措置を検討・実施 意見聴取後、必要に応じて

面接指導の結果や意見聴取の内容は記録として保存する必要があります。保存期間は5年間とされているため、様式を用意しておくと運用がスムーズです。

なぜ「申出」が進まないのか

制度上は整っていても、現場では申出そのものが起こりにくいという課題があります。よく挙げられる要因は次の3つです。

会社に知られることへの不安: 面接指導を申し出ると、事業者に「高ストレス者であること」を開示することに同意したとみなされます。「上司や人事に知られたくない」という心理的なハードルは小さくありません。

評価への悪影響への懸念: 高ストレスであることが評価にマイナスに働くのではないか、という懸念から申出をためらうケースも報告されています。

そもそも申出が任意であること: 面接指導を受けるかどうかは労働者の意思に委ねられており、強制はできません。そのため、何もしなければ申出率は低いまま推移しやすいという構造があります。

先述の調査結果とあわせて見ると、「制度としては存在するが、使われていない」状態が多くの職場で起きていると考えられます。ここを変えるには、制度の周知だけでなく、「相談してもいい」と思える導線の設計が必要です。

産業医がいない中小企業はどうするか

常時50人未満の事業場は産業医の選任義務がありませんが、面接指導の実施義務自体はあります。「産業医がいないから対応できない」は理由になりません。

現実的な選択肢は主に3つです。

地域産業保健センターを活用する: 労働者数50人未満の事業場を対象に、原則無料で面接指導や健康相談を提供している公的な窓口です。全国の労働基準監督署管轄区域ごとに設置されています。ただし年間の利用回数に上限がある(目安として年2回程度)ため、複数名の対応が必要な年は別の手段も検討しておくと安心です。

産業医とスポット契約する: 面接指導のみを都度依頼する契約形態です。1回あたり数万円程度が相場とされており、継続契約より柔軟に使えます。

外部の実施者と面接指導まで含めて委託する: ストレスチェックの実施から面接指導の手配までまとめて依頼できるサービスもあります。費用の考え方は別記事「ストレスチェック費用の相場は?外部委託 vs 自社実施のコスト比較」で詳しく比較しています。

中小企業が明日からできる、相談導線の工夫

制度を整えるだけでなく、「申し出やすさ」を上げる工夫も重要です。大掛かりな仕組みでなくても、次のような小さな改善から始められます。

  • 結果通知の際に、面接指導の申出方法を具体的に(誰に・どうやって)明記する
  • 人事や上司を経由しない申出窓口(外部窓口や産業保健スタッフ宛の直接連絡先)を用意する
  • 「申し出た人がどう扱われるか」を事前に周知し、評価に影響しないことを明言する
  • 高ストレス者本人だけでなく、管理職にも「部下から相談されたときの対応」を簡単に共有しておく

こうした運用面の設計は、Smart Stress Checkのような実施ツール選びとあわせて検討すると効率的です。結果通知画面に相談窓口の案内を組み込めるかどうかは、ツール選定時に確認しておくとよいポイントです。

FAQ

Q1. 高ストレス者と判定されたら必ず面接指導を受けなければいけませんか? いいえ、義務ではありません。面接指導を受けるかどうかは本人の意思に委ねられており、申出をしないという選択も可能です。ただし、事業者側は申出があった場合に対応できる体制を整えておく義務があります。

Q2. 申出から面接指導までの期限に法的な罰則はありますか? 「概ね1か月以内」という目安は指針に基づくものであり、著しく遅延した場合は是正指導の対象になり得ますが、期限超過そのものへの罰則規定があるわけではありません。とはいえ、対応が遅れるほど本人の不安や不信感につながるため、目安期限を運用ルールとして社内周知しておくことをおすすめします。

Q3. 面接指導の内容は上司にも共有されますか? 面接指導の医学的な内容(本人の状態の詳細)は原則として本人の同意なく共有されません。事業者に伝えられるのは、就業上の措置に関する医師の意見(就業制限の要否など)が中心です。この線引きを社内で明文化しておくと、申出のハードルを下げる効果があります。

Q4. 産業医がいない会社でも面接指導は実施できますか? できます。地域産業保健センターの無料利用や、産業医とのスポット契約など、産業医を常時選任していなくても利用できる選択肢があります。詳しくは本記事の「産業医がいない中小企業はどうするか」をご参照ください。

Q5. 面接指導の結果、就業上の措置が必要と言われたら何をすればいいですか? 医師の意見をもとに、労働時間の短縮、業務内容の変更、配置転換などの措置を検討します。措置の実施自体は事業者の裁量ですが、医師の意見を勘案せずに何も対応しない場合は、安全配慮義務の観点からリスクが残る点に留意が必要です。

まとめ

高ストレス者への面接指導は、「制度として存在すること」と「実際に機能すること」の間にギャップが生まれやすい領域です。申出率が上がらない背景には、心理的なハードルや評価への懸念といった構造的な要因があり、通知文を整えるだけでは解決しません。

まずは自社の面接指導の流れが「誰が・いつ・どこに申し出るか」まで具体的になっているかを確認してみてください。制度設計の土台として、ストレスチェックの実施自体を見直したい場合は、Smart Stress Checkで結果通知から相談導線までを一貫して設計する方法も選択肢の一つです。

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