「うちは何月にストレスチェックをやればいいんでしょうか」という相談は意外と多くあります。結論から言うと、法律が定めているのは「1年以内ごとに1回、定期に実施する」ということだけで、実施月そのものは会社が自由に決められます。だからこそ迷う担当者が多いのですが、決め方にはいくつかのコツがあります。この記事では、実施時期を決める判断材料と、決めたあとに毎年繰り返すための年間スケジュールの組み方を、表を使って具体的に整理します。
実施時期を決める4つの判断材料
自由に決めていいとはいえ、行き当たりばったりで月を決めると翌年以降の運用が苦しくなります。次の4点をチェックしてから月を選ぶと、失敗が減ります。
| 判断材料 | チェックのポイント |
|---|---|
| 繁忙期を避ける | 決算期・現場が動く時期に重ねると、受検の督促や高ストレス者対応の手間が数倍になる。受検率が下がる一番の原因は「忙しくて後回しにされること」 |
| 人の出入りが少ない時期を選ぶ | 入社直後の人が多い時期に実施すると、その職場の実態というより「まだ慣れていない」が結果に出やすい。集団分析を職場単位で見るなら、メンバー構成が落ち着いている時期の方が読みやすい |
| 結果の使いどころから逆算する | 職場改善に使うなら、来期の計画を立てる会議の前に結果が出ているように配置する。ここを決めずに時期を選ぶと、結果が出た頃には使い道がなくなっていることがある |
| 担当者の他業務と重ねない | 人事・総務の担当者は年末調整や賞与計算など、時期によって業務量が大きく変わる。ストレスチェックの実施・集計作業をそこに重ねると、どちらも中途半端になりやすい |
集団分析まで行う場合は、受検期間自体をできるだけ短く区切ることも大切です。受検開始から未受検者への督促までが数か月にわたって間延びすると、回答時期のズレが集計や分析に影響します。
年間スケジュールの立て方
実施月が決まったら、そこから逆算して年間の工程表を作ります。50人未満の会社で一般的な目安期間は次のとおりです。
| 工程 | 目安の実施時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 実施規程の確認・見直し | 実施月の2〜3か月前 | 前年の規程に変更点がないか確認。初めての場合はここで規程を整備する |
| 衛生委員会等での調査審議 | 実施月の1〜2か月前 | 実施体制・実施方法・結果の取扱いなどを審議し、社内で共有する |
| 従業員への実施案内 | 実施月の2〜4週間前 | 実施目的・受検方法・回答は任意ではなく受検自体は義務であること等を周知する |
| 受検期間 | 実施月内、1〜2週間程度 | 期間が長引くほど未受検者への督促の手間が増える。短く区切って集中的に実施する |
| 結果通知 | 受検終了後、速やかに | 実施者から受検者本人に直接結果を通知する |
| 面接指導の申出受付 | 結果通知後、概ね1か月以内 | 高ストレスと判定された人からの申出を受け付ける期間の目安 |
| 集団分析 | 結果通知と並行、または直後 | 10人以上の集団単位で集計し、職場環境改善の材料にする |
| 次年度に向けた振り返り | 実施完了後 | 受検率・運用上の課題を整理し、来年の実施月を見直すかどうか検討する |
面接指導は、労働者からの申出後、概ね1か月以内に医師による面接を実施することが望ましいとされています。ここまで含めて逆算すると、結果通知から面接指導の完了まで1〜2か月程度は見ておく必要があります。
毎年同じ時期にするメリットと、変更したいときの考え方
一度実施月を決めたら、基本的には毎年同じ時期に固定するのがおすすめです。理由は主に二つあります。
一つは、運用が定着すること。「去年の今ごろにやったこと」を思い出せば準備が進むので、担当者の負担が年々減っていきます。もう一つは、前年との比較がしやすくなることです。実施時期がずれると、季節要因なのか施策の効果なのかの切り分けが難しくなります。
とはいえ、繁忙期が変わった、組織再編があったなど、時期を見直すべき事情が出てくることもあります。その場合は、次の実施までの間隔が「1年以内ごとに1回」の要件を満たす範囲で調整すれば問題ありません。実施月を1〜2か月前倒し・後ろ倒しする程度であれば、間隔が1年を超えない限り運用上の支障はないと考えてよいでしょう。
50人未満の事業場は、いつから準備すべきか
労働安全衛生法の改正により、常時50人未満の労働者を使用する事業場にもストレスチェックの実施が義務付けられます。施行日は2028年4月1日で、対象となる事業場は2028年4月1日から2029年3月31日までの間に最初のストレスチェックを完了させる必要があるとされています。
まだ数年先の話に見えますが、初めて実施する場合は実施規程の整備や実施者の確保など、準備に時間がかかる項目があります。この記事で紹介した「実施月から逆算する」考え方は、初回実施の年にこそ役立ちます。義務化の全体像や準備の進め方について詳しくはストレスチェック義務化はいつから?50人未満企業が今から準備すべきことで解説していますので、あわせて確認してください。
FAQ
Q1. 年度途中で入社した従業員は、実施時期に関係なく対象になりますか。
ストレスチェックは実施時点で在籍している常時使用する労働者が対象です。実施日の直前に入社した人も、契約期間や労働時間の要件を満たしていれば対象に含めるのが原則です。ただし入社直後の受検は「まだ職場に慣れていない」状態の回答になりやすい点は考慮しておくとよいでしょう。
Q2. うっかり実施が1年を少し超えてしまったら、どうなりますか。
「1年以内ごとに1回」が原則のため、超過は望ましくありません。気づいた時点でできるだけ早く実施し、翌年以降は余裕を持ったスケジュールに戻すことが基本的な対応になります。恒常的に遅れが出る場合は、実施時期そのものの見直しを検討してください。
Q3. 複数の事業場がある場合、実施時期はそろえるべきですか。
法律上そろえる義務はありません。ただし全社的な集団分析や比較を行いたい場合は、実施時期を近づけた方が集計しやすくなります。事業場ごとに繁忙期が異なるなら、無理にそろえず個別に最適な時期を選ぶ会社もあります。
Q4. 受検期間はどのくらいの長さで設定するのが一般的ですか。
会社の規模や周知方法にもよりますが、1〜2週間程度に区切って集中的に実施する方法が一般的です。期間を長く取りすぎると未受検者への督促が長期化し、担当者の負担が増える傾向があります。
Q5. 健康診断と同じ時期に実施してもよいですか。
制度上は禁止されていませんが、目的や結果の取扱いが異なる別々の制度です。同時実施のメリット・デメリットについてはストレスチェックと健康診断の違いと同時実施の可否で詳しく解説しています。
まとめ
ストレスチェックの実施時期は法律で決められているわけではなく、繁忙期・人の出入り・結果の使いどころ・担当者の業務量の4点から会社ごとに決めるものです。時期が決まったら、実施規程の確認から次年度の振り返りまでを一つの年間スケジュールとして組んでおくと、毎年の運用がぐっと楽になります。
実施そのものの負担を減らすという点では、事前の名簿準備が不要でQRコードを掲示するだけで受検を開始できる仕組みを使うと、実施案内から受検開始までの期間を短縮しやすくなります。Smart Stress Checkは、QRコードでの受検開始や集団分析、労基署提出用の報告書作成までを一つのサービスでカバーしており、これから年間スケジュールを組む会社にも導入しやすい設計になっています。まずは自社の年間カレンダーを開いて、来年の実施月を決めるところから始めてみてください。